信頼と存在論的安心(心理学が関係する諸問題)

  1. 存在論的安心は、感情的現象であり、無意識に根ざしている
    1. 「可能性(核戦争がいつ起きるか)」は理論的には排除できない
    2. この存在論的不安は信頼という「投薬」を基本的に受けているからである

エリクソンの理論

  1. 信頼(の機能)には二つある
    1. 幼児が客体の供養者のもたらす同一性と継続的に依拠することを学んでいく信頼
    2. 自分自身への信頼
  2. 幼児が学ぶこと
    1. 介護してくれる人の首尾一貫した行動や思いやりに依拠していくことを学ぶ
    2. 供養者が幼児自身の行動に信憑性や信頼性が生ずるのを期待していることを学ぶ
  3. 精神分裂症は供養者とその子との間に基本的信頼が確立されていない場合に生じうる
    1. 異様な行動、引きこもりは内面的信頼性の欠如が外部世界の非信憑性を反映していく
  4. 潜在空間(D・W・ウィニコット)は空間的/時間的に介護者が不在の状態に耐えうることの出来る幼児の能力を示している
    1. 信頼感の心理学的発達過程の確信部分に、時空間の拡大化という問題を再発見することになる
    2. 他者が信憑性を有しているが、同時に独立した経験をしているという感覚
    3. 他者にたいする信頼は、絶えず繰り返して生ずる心理学的欲求である
  5. 存在論的安心と型にはまった行いは、習慣という浸透性の強い影響力を介して本質的に結びついている
    1. 型にはまった行いへの愛着はつねに両面価値的である
    2. 基本的信頼の一部を必然的に形づくる喪失感情の表出=心理的緊張の解放
  6. 基本的信頼の形成の際に学習することがらが、きわめて洗練された実践的意識の方法論があるということを示している
  7. 上記から信頼の対義語は《危惧》および《苦悩》と考えるほうがよい